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2022年のアスベスト法改正について

こちらの記事では、これまでのアスベスト関連法案の変遷について紹介しています。特に解体工事に大きな影響のある部分の変更を紹介していますので、関連の工事を行う場合には、下記内容を参考にしてみてください。

アスベスト法改正の変遷について

1955年から2006年ごろまで建物に使用されてきたアスベストですが、肺がんや悪性中皮腫の原因となるリスクがあると判明しています。このことから2020年6月5日に「大気汚染防止法の一部を改正する法律(改正大気汚染防止法)」が定められ、2021年4月より順次施行されました。
ここでは、この法改正によって解体工事現場にどのような影響があるのかといった点を紹介していきます。ただし、紹介内容は一部の変更箇所である点、また詳細は条例や工事の規模などによって異なることから、自治体のホームページにて細かい部分を確認してください。

【2021年4月】規制対象の拡大

2021年4月には、規制対象が拡大されています。具体的にはレベル1(吹付け石綿など)・レベル2(石綿含有温材や石綿含有断熱材など)に加えて、レベル3(石綿含有成形板など)まで拡大。この変更によりすべての石綿含有建材が規制の対象となっています。さらに、それぞれのレベルでの作業基準も更新・新設されています。

【2021年4月】不適切な作業の防止

元請け業者においては、石綿含有建材が使用された建築物などの除去等が完了したことを確認するために、必要な知識を有する者によって目視での確認を行うことが義務付けられています。加えて作業結果を書面によって発注者に報告し、工事現場に掲示することが義務化されています。
さらに、これらの作業における作成書類については、作業の完了から3年間保管することも義務付けられています。

【2021年4月】事前調査の信頼性の確保

事前調査方法が「図面または目視」から「図面および目視」に変更・義務化されています。
このことにより、解体工事やリフォーム工事を手がける業者においては、解体工事を着工する前の目視によって建材が設計図と同じとなっていることをチェックします。
もし目視での調査によって判明しない場合には、サンプリングと成分分析が求められます(ただし2006年9月以降に着工された建物はアスベストが使用できなくなった後となっていることから、着工日などを確認するのみで事前調査完了できる)。解体工事の元請け業者については、解体工事の事前調査に関わる記録を作成した上、3年間保存することが求められています。
また、除去作業を隔離などを行わずに行った場合、事前調査結果を報告しないといった場合に対する直接罰の規定も新設されています。

【2022年4月】事前調査結果の報告

2022年4月からは、事前調査結果を石綿含有建材の有無にかかわらず報告することが義務化されています。この時には電子システム「Gビズ」を使用して報告を行います。
報告義務が発生する工事は「床面積の合計が80平米以上の解体工事」請負代金の合計が100万円以上(材料費・消費税を含む)建物の改造の補修作業」「請負代金が100万円以上(材料費・消費税含む)となっています。
この場合、環境大臣が定めている解体工事や改造工事が対象となっていますので、具体的に対象となる工事を知りたい場合には、厚生労働省のホームページや近くの役所などで確認を行ってください。

まとめ

この記事では、アスベスト工事に関する法改正についてまとめてきました。解体工事の前に対象の建物やそれに付随している設備などにアスベストが使用されているかをどうかを事前に調査することが求められます。さらに、調査結果の保存について、一定規模以上の工事については各都道府県の労働基準監督署へ届け出すことが義務付けられています。
これらのほか、2023年10月には建築物の事前調査を行う資格要件の新設が行われます。具体的には、厚生労働大臣が定める講習を修了した者がアスベスト使用有無に関する調査を行うことになります。
さまざまな法改正があり、複雑に感じられるアスベスト関連工事ですが、上記で定められている内容をしっかりと行うことによって利用者や作業担当者の健康を守ることにも繋がりますので、十分な対応を行うことが大切です。

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